にんげん賞味期限

店を後にし、時計の針は深夜の一時を指していた頃、僕はストリートライブをした広場にいた。



流石にこの時間になると冷え込み、人影もなく殺風景な様子を作り出していた。



「すいません、お待たせしました!」



バイトを終えた彼女が小走りでやってきた。



「来てくれたんだ。」



「はい…あっ、別に帰り道ですから。」



「ありがとう、わざわざ夜遅くに。」



そう、僕はメモ用紙に



『仕事が終わったら会えませんか?この間、ライブをやった広場で待ってます。』



と書いていたんだ。



自分でもなんて積極的なんだと思ってしまうほどだ。




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