にんげん賞味期限

「明日、バイトが終わった後、会えますか?」



「う、うん!もちろん、大丈夫だけど?」



「では、明日またここで。」



「あ、じゃあ番号教えてよ?」



自然体な聞き方で訊ねた。



「ないです。」



「え!?ない?」



「はい、携帯電話って面倒くさいから持ってないんですよ。」



「いまどき持ってないなんて、君はほんとにかわってるね。」



「私、いまどきの子ではないので。」



二人は笑い合った。



缶コーヒーはすでに空になり冷たい秋風が僕たちの温度を奪っていたが、心が暖かいとでもいうのか全然気にはならなかった。



今日もギターをやめた理由は聞けなかったけど…



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