にんげん賞味期限

僕たちは店を後にし真っ暗な河川敷を歩いていた。



「なぁ、亜依?」



「え?」



「最後に一つ訊いてもいい?」



「ええ…」



「きばらし…でも楽しかった?」



ふいに亜依の表情が変わった。



「…ええ、楽しかったわ。毎日毎日、ほんとに…とても幸せだったわ…」



そう言うと、亜依は口元を手で覆い、泣き出した。



それでもゆっくりと口を開く。



「…だけど…だけどね…」



…………。



亜依は耐えきれずその場で泣き崩れた。




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