にんげん賞味期限
僕は亜依を抱きしめた。
「うぅ…ご…めんね、ごめんね…ほんとは…和也のことが大好きよ…でも…会う度に辛く…なっていくの…だから誘われても断り続けたの…どうしても親を裏切ることができなくて…」
亜依、もうそれだけで十分だよ。
理由は言わなくていい。
ありがとうな、本当の気持ちを聞かせてくれて。
僕はさらに強く子供のように泣く亜依を抱きしめた。
このとき、この姿を一番見られてはいけない人間に見られているとは気づきもしなかったんだ…
そして亜依はポツリと呟いた。
「やっぱり明日、自分からちゃんと会って和也に言うね…」