にんげん賞味期限

僕は一人、いつもの広場にいた。



あのことがあってから、まだ彩夏には会っていない。



正直、どんな顔をして会えばいいのか分からなかった。



そんな思いで下を向きながらベンチに座っていると、微かに映る人の黒い影が目に入った。




「なにしてるんだ!どれだけ探したと思ってるんだ!」



その声の主は腰に手をあて、母親が自分の子供を叱るような口調で言い、僕の前に現れた。





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