にんげん賞味期限

連絡手段はないし再び会うことなんて0といっていいほど不可能に近い。



でも、理由なんてないけれど、またどこかで会える気がしたんだ。



だから、

『さよなら』

とは言わなかった。



すると彩夏は僕の手を振りほどき俯き無言でバスに乗りこんだ。



そして、自分の顔を見られないように右手で覆い隠し、僕がいる反対の右側の窓際の座席に座った。



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