にんげん賞味期限

アパートに着き自転車を塀にかけ、古びた階段を一気に駆け上がる。



「ただいま!ギター買ってきたよ!」



「おぉ、ありがと!いくらした?」



「えと、10万ちょっと…」



「あはは…まさか、冗談だろ?」



「いや、本当なんだけど…」



僕たちはお互いの顔を見合う。



「ま、なんとかなるか!」



二人は笑った。



嬉しかった。



少し、ほんの少しだけ和也に近づけた気がしたんだ。



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