君と歩む夢みて~時は平安~
…っ。
覚えているに決まってるであろう。
その時の私は…悩みに悩んでいた。
その頃だったかろうか。
天竜を、意識したのは…。
「覚えているに…決まってるであろう?」
「…良かったです。」
天竜は眉を八の字にし、切なそうな顔を見せる。
さっきまでの優しい笑顔とは、打って変わって切なそうな顔を…私に見せる。
「天…竜…」
「黄泉様…約束、守れないようです。申し訳御座いません…」
床に、ポタリと何かが落ちた。
その何かは、天竜の頬をとめどなく流れている。
「天竜…っ」
ずっと、我慢していた。
本当は…離れたくない気持ちと、泣きそうな衝動。
私の目にも…涙が帯びる。