君と歩む夢みて~時は平安~
「…離れたくないです…黄泉様と。」
そう言う天竜に、溜まっていた涙が溢れた。
その涙は色鮮やかの着物を濡らしていく。
「私も…離れたくない…っ」
ギュッ…と天竜が力強く私を寄せた。
泣き顔を見せないように、天竜は私の頭に顔を埋める。
たまに聞こえてくる嗚咽に、胸が痛んだ。
「天竜…?」
優しく、声をかける。
愛しい…。そんな気持ちが溢れた。
「黄泉様…」
名前を呼び合う。
当たり前だと思えてきた日常は今日まで。
明日…私の隣から、
天竜はいなくなる。