君と歩む夢みて~時は平安~



…部屋に、一筋の光が照っている。



私はその光の方向に顔を向けた。



2人で過ごしている間に、日付は変わっていたらしい。



夜が明けていた。



明日ではなく…、今日になってしまったよう。



「夜が…明けたようですね。」



私を抱き締めている、天竜が切なそうに言う。



時間が止まるなんてそんな…非現実なことはやはりなく、別れは刻々と迫ってきていた。



後…数時間。



「天竜…っ。離れたく……っ!!」



遮られた言葉。天竜が身を離した私の口元を押さえている。



「言っては…なりません。離れがたくなってしまいます。」



寂しそうに微笑む天竜に、自分の言おうとしていた言葉に後悔した。



「すまぬ…」



唇を噛み締め、俯く。



< 106 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop