君と歩む夢みて~時は平安~
完全に夜が明け、朝方。足音が聞こえてくる。
寝ていた貴族たちが目を覚ましたのだろう。
「これで…安心しました。」
天竜がそう呟いた。
「何がだ?」
眉を寄せ、問う。
「黄泉様の真意を聞けて安心したのです。」
私の頭を優しく撫でる天竜。
意表をつかれた私は、カァッと頬を染めた。
「…照れてるのですか?」
「っ!……照れてなどないっ!!」
赤い頬を見られたくなくて、私は天竜から背く。
「黄泉様、私のこと諦めないでくださいね?」
再び、天竜は私の頭を撫でながらそんなことを言う。
当たり前のことを、言い出すものだから私は疑問を抱いた。
「何を今更…」
不思議そうに問う私に、天竜は笑う。