君と歩む夢みて~時は平安~
笑ったかと思えば、今度は鋭い顔をする天竜。
態度の変貌についていけていない私は、ただ不思議に思う。
「黄泉様が諦めてしまったら、私と黄泉様は終わってしまいます。」
そんな私に天竜はいきなり、鋭い言葉を発した。
「貴族である黄泉様が、頑張られなければ…私と黄泉様はもう会えません。それが現実です。」
私にはなにも出来ません…。と悔しそうに呟く天竜。
天竜を安心させる言葉がこんな時に限って、浮かばない。
「天竜…私、やれることはやるつもりだぞ。」
そんな事しか言えない哀れな自分。
「期待しています。」
そんな言葉と、優しく笑う天竜に胸がキュン…とくすぐったくなった。
「天竜こそ…目移りなど…するでないぞ。」
指を指でいじりながら、私は言う。
自分で言った言葉だが、恥ずかしくて語尾が上擦っていた。
「する訳ないでしょう?黄泉様。」
余裕がある天竜に、頬を染めている自分が恥ずかしい。