君と歩む夢みて~時は平安~
なんの灯りもない夜に外を照らすのは月。
月明かりの下はどこか落ち着く。
幼い頃から、悪いことがあった日は必ずと言って良いほど月を見てた。
「綺麗だ…」
静かに呟く…。
「黄泉様っ!」
静かな雰囲気が一転、多恵の騒がしい足音によってそんな雰囲気がなくなった。
「騒がしいぞ…多恵。何時だと思っておる。」
「も、申し訳御座いません!用件をお伝えします。…天皇様がお呼び…です。」
天皇…が?
「わかった。すぐ向かうとしよう。」
再度、私は月に視線を戻す。
多恵は、私に一礼すると速急にその場から立ち去っていった。
「…行くか」
あれから、天皇と顔を合わせるのは始めてで…
少し気まずい。