君と歩む夢みて~時は平安~
「今度は何なんだろう…」
足早に廊下を歩き進めていく。
すでに、他の貴族たちは自室に戻っていて部屋から、少し灯りが見えていた。
その灯りのせいか、廊下は少し、恐怖感を感じる。
…急ごう。
ゴクリと喉を鳴らし、黄泉は先程よりも歩くスピードを速めた。
天皇の部屋の前に人影が見える。
「誰だ…?」
この距離では遠くて人影を確認するのがやっと。
「こんな時間に天皇の部屋の前で何を…」
明らかに怪しく見えるその人物。
近づいてはっきり見えたその正体は天皇だった。
「天皇…?!何してらっしゃるのですか?!部屋にお戻りください!!」
「おぉ、黄泉か。」
月を真っ直ぐ見つめる、天皇の口角は上がっていて、微笑んでいるように見える。