君と歩む夢みて~時は平安~
こんな優しい顔をする天皇を見るのは、久しぶりだった。
「寒いだろう?入れ。」
そう、優しく部屋に入るように私を促す。
驚きながらも私は天皇に従って部屋に入った。
いつも天皇の周りにいる人達もいなくて、またしても2人きりのこの空間に緊張を覚える。
天皇は私の横に腰をおろしていた。
その顔は…まるで1人の父親のよう。
「どう…なされたのですか?」
「黄泉…お主にはそろそろ…話さなければならぬな。」
天皇が少し気難しそうな顔をしながら言う。
「何を…です?」
「今日は…黄泉の母親の命日なんだ。」
…………え?
……え?