君と歩む夢みて~時は平安~
「…一種の気の迷いだろう。」
私が何を言っても、天皇は聞く耳を持ってくれない。
「農民とは…幸せになれるはずがない。」
この、天皇の言葉を聞いたのは何回目だろうか。
何を根拠に言い切れるのだろうか。
「黄泉…お主も大人だ。世の中をそろそろ知れ。」
こんな世の中を大人ならば知らなければならない。と、いうことか…?
なら、私は大人なんかになりたくない…っ。
「結婚する者くらい…自分で決めます」
唇を噛みしめ、震える口でそう言った。
それでも…天皇の顔は眉一つ動かない。
「幸せか、そうではないか…それは、私が決めることです!」
自分の中の感情を全て吐き出すように…力強く…言った。