君と歩む夢みて~時は平安~
「見合いなど…致しません。必ず。」
そう言い放ち、私は天皇に促されるまま部屋を出た。
閉まり際に見た天皇の顔は、何かを思い出しているような切ない顔をしていた気がする。
それが…何故かはわからないんだが。
それよりも、一週間後の見合いだ。
私がどんなに断ったとしても、一週間後…隣国の者は必ず来るだろう。
見合いをしないで、逃げ出したとしても…外出禁止の私は裁きを受けるだけだ。
見合いをするだけして…断ろう。
結果的にそういう考えに行きついた私は、自室にとりあえず戻った。
そこで、先程書いた天竜への文を取り出し書き加える。
“見合いをすることになってしまったが、気にしないでほしい”
…と。