君と歩む夢みて~時は平安~
再度、文を丁寧に折り戻し戸棚にいれる。
もうすでに、明け方に近くてこれから寝ても、満足に睡眠はとれそうにない。
「母様…か。」
静かに呟いた。
東の方から日が射してきているのが見える。
私は、母様のことをなんとなく…考えてみた。
小さい頃からこの城内で暮らしてきた私に…何故、母様の記憶がないのだろう。
政治やら仕事やらに忙しそうだった父様のことは…なんとなくだが、記憶に残っている。
なのに…何故、母様のことは、記憶の片隅にすらないのだろう…。
朝日が眩しく辺りを照らしていた。
それに伴い、足音が慌ただしく聞こえてくる。
「寝るか…」
考えるのに疲れた頭を、癒そうと睡眠をとることにした。