君と歩む夢みて~時は平安~
それから、しばらくは他愛もない話をして。
良い人だと言うことは良くわかった。
それでも…心が揺らぐことは一回もない。
「あの…今更で悪いんですが…」
申し訳なさそうな口調で黄泉は再度、相手に話を切り出す。
「なにかあったか?」
「私…見合いを受けることは…できませぬ。心に決めた人がいるのです。」
「…え」
襖ごしから相手の戸惑った様子が伝わってくる。
「心に…決めた人が?」
「はい。…ですから、見合いを受けることはできませぬ。…身勝手って申し訳ないんですが…。」
相手に姿形は見えないのに私は頭を下げた。
そんなの知る訳ない相手は話しかけてくる。
「天皇が…言っていた通りのようだ。」