君と歩む夢みて~時は平安~
「何を熱くなっておられるのです?」
襖ごしでも伝わってくる相手の嘲笑う様子。
私を馬鹿にしているかのような嫌味っぽい口調。
ギリッと歯を食いしばった。
「見合いは受けられない」
余計な言葉をなるべく発しないため、私はこの場を終わらせようと、手短かにそれだけを言う。
「それが出来ぬと申しておるのだ。貴女は…私を愛さなければならないのです。」
俯いていた顔をふと上げた。
「それが…天皇に申されたことか?」
淡々と静かに言う。そうではないことを密かに願っていた。
「ええ。私は天皇に貴女と…見合いをするように命じられました。」
ビリッとまるで体に電撃が入ったような感覚に襲われる。