君と歩む夢みて~時は平安~
「すまぬ…っ。私にはよく、言っていることが分からぬ…。」
「黄泉様、簡単な事に御座います。ただ、お会いしたいだけなのです…!」
その星宴の、言葉にギュッと心が掴まれるようだった。
何故か、拒もうなんて気はもうなくて。
私は開けてしまったんだ。
あの白い襖みたいのを。
涙で霞む目に見えるのは、優しい星宴の笑顔。
幼き頃の記憶が脳をよぎる。
あの頃の面影が残っていた。
忘れていた、記憶。確かに星宴が言っていた通り私は会っていたようだ。
ふわっと目に、手がかかる。
それは、私の涙を優しく拭う星宴の手。
「黄泉様には、もう私が入る余地はないのですね。」
切なそうな笑顔。見てられなくて、目を逸らした。