君と歩む夢みて~時は平安~
「それと…最後に悪あがきをしても宜しいですか?」
「え…」
そう言い、星宴は再度、私を腕の中に閉じ込める。
先程とは違い、力任せなんかではなく優しく包み込むような、抱きしめ方。
「私は…黄泉様を嫁として、迎え入れる事をずっと、夢見てきました。
そのために武芸や文才も必死に体得しました。貴女の耳に届くように…」
今、星宴はどのような顔をしているのだろう…。
抱きしめられているため、星宴の顔が見えない。
確かに、私の耳にも星宴の噂は入っていた。
隣国に文武優秀な者がいると。
対して興味を持たなかったことに、少し罪悪感を感じてしまう。
「黄泉様に相応しい殿方になるよう、日々…努力を惜しませんでした。」
そう、淡々と切なそうに言う星宴に胸が痛む。