君と歩む夢みて~時は平安~
でも、そんな想いとは裏腹に、会う機会はどんどんなくなっていく。
なんとか時間を見つけて何度も会いに行こうとした。
…けれど、わざとらしく変な理由で止められる。
…妻はいる。表向きだけの。きっと相手も同じように我に気持ちなどないだろう。
…こんな状況の中でも、心にいるのは君だけだった。
それは…絶対変わることはない。
…そんな、矢先。
夜、城を抜け出した。
貴族の噂は絶えない。自由もない。
…きっと、限界だったのだろう。
ちょっとした…反抗心だったのだろう。
久しぶりに見る、夜の村は何故か心安らぐ。
そして…まだ光の灯っている一つの家の戸を静かに開けた。