君と歩む夢みて~時は平安~
灯りの点ってない家。
「…っ?!」
なかに入って…視界に入ったもの。
声も発することが出来なかった。
そこには…横たわっている弥栄の姿。
急いで、弥栄の元に行き静かに抱き上げる。
微かに聞こえてくる、呼吸。
最悪の事態ではなかったことにホッと、息を撫で下ろす…わけにも行かず。
「弥栄!弥栄?…何があったのだ?」
「………」
目を開くこともなく…声を発することでもなく。
弥栄は我の問いかけに、苦しそうに小さく息をするだけ。
息をするのがやっとのよう。
誰が…こんな事を…。
考えつくのは1つだけだった。
恐らく…城の使いの者。
そんな時…丁度良すぎるほどのタイミングで
「天皇様、退きください。汚れてしまいます。」
こんな…他人行儀な声が耳に入ってくる。