君と歩む夢みて~時は平安~
そこにいたのは、城での我の側近。
見慣れすぎた顔。いつも、我の身を護ってくれる者。
今では、感情のない笑みに恐怖さえ感じる。
「やったのは…お主か」
今まで、こんなに低く怒りの籠もった声を出したことがあっただろうか。
「申し訳なく思っています。…天皇様のためとはいえ、人の命を殺めるのですから、大変心が痛みます。」
…そんなこと、微塵も思っていないだろうに。
「殺める?いつ我がそんな指示を出したというのだ?刃向かうならお主も容赦はせぬぞ。」
その場に弥栄を、そっと…優しく寝かせ、ゆっくりと立ち上がる。
相手を鋭く睨みつけた。
そんな我に、奴は余裕綽々に嘲笑う。
「天皇様、無礼をお許しください。」
奴がそう言うとともに…
今、目の前にいた奴が、視界から…
消えた。