君と歩む夢みて~時は平安~
「天皇様、お許し願います。これは…誰もが望んだ結果です。」
血に浴びたなにかを片手に持ちながら奴が言う。
感情もない言葉を並べていく奴に、恐怖感がさらに呷われた。
動じなくなった弥栄の身体に触れることでこれが現実なのだ、夢ではないのだと痛感させられる。
徐々に体温を失っていく、弥栄の身体。
生気なんて感じられなくて…。
静かに抱き締めた。
不思議と涙は出ない。
「弥栄…すまぬ…ッ!」
許してくれとは言わぬ…。
我は弥栄を…弥栄と…幸せになりたかっただけなのだ。
弥栄と黄泉と、我で…手を繋いで散歩もしてみかった…。
ただ…それだけなのに。
「すまぬ…ッ。弥栄……!」
身分の差に…勝とうなどと、考えた我が大馬鹿者だったのだな。