君と歩む夢みて~時は平安~
幼い子供の泣き声…。
声がする方にゆっくり歩み進める。
「よ…み、か…?」
ひとりの涙する女子が抱き締める小さい子。
「天皇様…ッ、弥栄からの伝言をお伝えしとう思います故、宜しいでしょうか?」
震える声を隠すようなその言葉は我に、告げられた。
「…言うてくれ」
何故かはわからないが…心臓が押しつぶされてしまいそうだ。
「まず、黄泉を幸せにしてください、と…。
あと、弥栄は天皇様と過ごせてこの上ない、幸せだっ、たと…ッ」
最後の方は嗚咽で聞き入れるのがやっとだった。女子が「申し訳ありません…」と弱々しく呟いている。
そんな女子から、黄泉を受け取ると少しばかり力をいれて抱き止めた。