君と歩む夢みて~時は平安~
望み
驚きを隠すことができない。
まず、そんな父様の過去に。
そして…
今、目の前で肩を振るわしながら涙する父様に。
「我は…、約束をした。…黄泉のことを幸せにするようにな。」
嗚咽を交えながら、必死にそう言葉を発す父様。
「と…うさま…」
自分の声が若干、震えており、泣きそうなのだと悟ることができた。
そんな考えに比例するように、目から涙が滴る。
「天皇という…位にいても、どうしようもできないことがあるのだ。黄泉のような身分の者が農民と結ばれては試しがつかぬからな…ましてや…」
一瞬、父様は考え込むように言葉を濁すと、私の顔をチラッと見て呟いた。
「上の身分の者達は、黄泉が我の子だと知っておる」