君と歩む夢みて~時は平安~
そう言う天皇の顔が、今にも泣き崩れてしまいそうな程歪んでいて。
私はなにも…言えない、出来ない自分の不甲斐なさにギリッと歯を噛み締めた。
「父様…そんな顔をしないでくだされ」
体の底から絞り出すように呟き、父様を見据える。
「すまない…お主にはいつも迷惑ばかり…」
「…そんなことは、ありませぬ」
目から滴る涙は、ポタポタと着物に染みに近いものを作っていった。
緩くなっている、涙腺にグッと力を込めてみても…それは意味を持たず、涙は勢いを増すばかり。
そんな私に、父様は歩み寄り、頬に伝っている涙を自らの手で拭う。
「父様…?」
「我は…黄泉に辛い思いしかさせぬようだな。すまない…我が不甲斐ないばかりに…」
私の涙を拭う父様の手が、あまりにも温かく、心地よくて、私は更に涙で着物を濡らした。