君と歩む夢みて~時は平安~



父様の胸で、自らの想いを断つように思う存分泣き喚いた。



その間も、父様は私を優しく包み込むように…ひたすら私の背中を揺すっていてくれて。



父様の肩も僅かに震えていたことに気づいた私は、想いの中の戸惑いをはっきりさせた。



「父様…私に、少し時間を与えてくれませぬか…?」



泣きすぎたせいか、声が掠れている。



急にそんな言葉を発した私に、意表を突かれたように父様は、戸惑いの声をもらした。



「私の最後の我が儘です…。どうか…聞き入れてくださいませぬか?」



ゆっくりと、父様に任していた身体を遠ざける。



そのままの姿勢で後退し、正座をして姿勢を正すと静かに頭を下げた。



「どうか…聞き入れてくださいまし…!私の最後の我が儘に致します故」



急に土下座紛いのことをする私。そんな私に父様は優しく…声を発す。



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