君と歩む夢みて~時は平安~
久方ぶりに入った村は、以前と全く変わらず。
皆、自分の仕事をひたすらこなしていた。
日が傾き始めた空。
オレンジ色の明かりが周りを優しく照らす。
そんな夕日に目を細めながら、止めていた足を再び動かした。
天竜の家まで後少し。
私と天竜の別れまで…後、数刻。
重くなる足取りに情けなさが積もる。
涙で視界が歪んできていた。
そんな涙を振り切るように、思いきり頭を上下左右に振る。
そんななか…
「…黄泉、様…?!」
懐かしい声が、耳を掠めた。
「天…竜…」
久しぶりにみた、愛しい人。