君と歩む夢みて~時は平安~
次第に撫で回していた手が弱まっていく。
俯いていた顔をあげると、そこには切なそうに微笑む天竜。
「天竜…?」
私がそう、声をかけるとハッと気付いたように乱れた私の髪を手櫛で整えてきた。
整える、といっても乱雑に扱っているので更に絡まっていってる気がする。
まさに、心此処に在らずだ。
扱う手が更に乱雑になってきた。
「い、痛…ッ」
髪の毛を引っ張られ、私がそう声を上げると天竜は「申し訳ありません!」と、今度は優しく梳く。
「…天竜、如何した?」
「気にしないでください」
私のそんな問いかけがバッサリと切り捨てられた。
それに多少、ムッと顔をしかめ、天竜を睨む。
「そんなことを申している場合ではなかろうが」
そう言う私に天竜が困ったように、眉を寄せた。