君と歩む夢みて~時は平安~
「明朝には、黄泉様は他の男のもとへ行ってしまうのだなと、考えた故です」
決心したように口を開いた天竜。
私はその言葉に、何も返せず…ただ俯いた。
「…黄泉様が気に病むようなことではないです。気にしないでください」
髪を優しく梳いていた手が次第に離れていく。
髪に感じていた温もりに、寂しさを感じた。
「天竜…」
震える声を、必死に隠す。
「…なんでしょうか」
「私の、最後の我が儘だ」
君は答えてくれるだろうか。
この、身勝手すぎる願いを。
…他の殿方へ嫁いでしまう。そんな私の願いを。
「今宵は…私を全身全霊で愛してくれ」
こんな…私の我が儘。