君と歩む夢みて~時は平安~




「……ッ!!」




…走った。




休むことなく。




振り切るように…この頬を滴る涙を。




着物がどれだけ乱れようが構わない。




どれだけ汚れようが気にしない。




一度も…振り返らず。




…走った。







口々に驚きの声が耳に入る。




人にぶつかろうが構わなかった。




…走った。




いち早くこの村から離れたくて。




天竜を感じさせるこの村から…離れたかった。




きっと…もう二度と、訪れることはないだろう。




< 216 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop