君と歩む夢みて~時は平安~
「かっ…ハァッ…、ハァッ…!!」
目眩を感じて、立ち止まるとそこには何もなかった。
村からは、とっくの前に出ていたそう。
「くっ…あっ…ハァッハァッ…!」
額から汗が伝る。
酸素が喉に通らず、息苦しい。
どれだけ、走ってきたのだろう。
辺りを見回せば、見えるのは生い茂る草と、そびえ立つ木々だけ。
「…スー…ハー…」
呼吸を落ち着かせ、酸素を深く吸い込んだ。
「私は…、とんだ大馬鹿だな…」
喉を右手で抑えながらそんなことを、呟く。
天竜と、もう二度と会えないのは充分わかっているのに。
こうしてる今でも…