君と歩む夢みて~時は平安~
「黄泉様、いい加減理解をしてくだされ。あなた様のような御方が庶民などと戯れてはいけないのです。」
「多恵はおかしいとは思わぬのか?なぜ人が人を差別するのか」
「……黄泉様」
いつもなら今頃、村であの者達と戯れ、語っているはずなのに…
あぁ…
さっさと行ってしまえば良かった。
「黄泉様、とにかく村へなど行ってはなりません」
「…わかった」
そう言うと多恵は笑みを見せ、一礼し部屋を出ていった。
もちろん、私は承諾などしてはいない。
…ただのその場しのぎだ。
「あと、10分位したら…出るか」
今は、丑の刻。まだまだあの者達は働いている。
胸が痛んだ。
貴族達が寝息をたて安らかに眠っている間、村の者達は必死に働いている。
…生きるために
なのに、私たちは何もせずただ身分という格差のお陰で楽に生きている。
そんなの…馬鹿馬鹿しいだろう?