君と歩む夢みて~時は平安~
なぜだろう。
今まで全く恋などそんなものに興味を示さなかった私が。
なぜなんだ。
会って間もないこの男を意識してしまったのは。
あっては…ならないのに。
この想い、留まることを知らない。
駄目だと思う度、考える度、更にあなたを想う。
初めての経験だから戸惑って…昔から恋なんてしてはいけないものだったから…。
この上なく困惑した。
「黄泉様、黄泉様!」
そう、名前を呼ばれる度、尋常じゃないほと意識してる。
「な、なんだ…」
「空が綺麗ですよ」
「ぅ、む…」
秋の夜空。空気も澄んでいてなんだか…心地よい。
「黄泉様、綺麗でしょう?」
こちらに顔を向けた天竜と目があった。
「あ、あぁ…」
「あの、一番光ってる星…一番綺麗ですね」
そう言ってニッコリと微笑む。
秋の夜空。
星々の明かりだけが私達を照らしていた。