君と歩む夢みて~時は平安~
「それにしても…天竜は凄いな。」
私がそう言うと不思議そうにこちらに向き直してきた。
「…なにがです?」
「私に気兼ねなく話せるところだ。…普通ならそんな事言えんだろう。」
「黄泉様だからですよ。私は黄泉様を信頼していますから。それに…何故か気になるんです。」
ほんのり天竜の頬が赤くなった気がする。
一瞬見えた赤い頬に目を見開いた。
「気に、なる…?」
「いや、あの…!変な意味じゃなくですね…?!」
なにかに気付いたのか天竜は必死に訂正している。
「わ、わかっておる。」
あまりにも必死に訂正するから少し…傷付いた。
「いや…あの…もう、寝ましょうか?!」
もう、遅いですしなんて言いながら立ち上がる天竜。
それにつられるように私も立ち上がった。
「今更ですが…風邪をひかれては困ります。」
若干照れ笑いを見せながら、私を部屋まで送ってくれる。
「…有難う」
「い、いえ…」
閉まっていく襖が名残惜しい。