君と歩む夢みて~時は平安~
「天竜!」
徐々に閉まっていく扉を遮る。
何故か…とてつもない不安がよぎったのだ。
「黄泉様?!」
驚いて目を見開いている天竜。
私は構わず…続けた。
…なにも、考えていなかった。
ただ…不安で体が押しつぶされそうで…、なにも考えられなかったのだから。
「天竜は、村に帰りたいか?」
「…え?どうなされたのですか?…突然」
「いいから、答えよ!!」
感情的になってしまい、煮え切らない想いが胸に渦を巻いている。
「…帰りたいという感情は今は御座いません。…ただ、役目を終えたら私は村に戻ります。」
ガンと頭になにかをぶつけられた衝撃が走る。
「黄泉様?やはり、最近おかしいですよ。」
「気にするな!!」
夜ということも気にせずに叫んでしまった。
鼻の奥が…熱い。
「…悪かった。天竜も早く床につくが良い。」
そう言い放ちピシャリと襖を閉める。
天竜の足音が遠くなった頃…
その場に崩れた。
やはり、私が…