君と歩む夢みて~時は平安~
「…出るか」
ゆっくりと立ち上がり耳を澄ます。
多恵…誰かが見張ってる可能性はとてつもなく高い。
先日、バレてしまったのだ。
私が夜、村に出歩いているということが。
あんなドジをふんだ自分に多少腹立つ。
「…大丈夫だな」
なるべく、息を殺し周囲を気配りながら村へ出た。
「…おかしすぎるだろう」
やっぱり、村は明るかった。
とうに丑の刻は過ぎており、もう明け方に近い。
なのに…
この者達は汗水垂らしながら働いている。
そして、私を見かけては
「黄泉様!いらっしゃったのですね。」
笑顔で声をかけてくれた。
わからぬ…
「あぁ…」
「今日は遅かったですね」
わからぬ…
「応援してるからな。」
「あ、有り難う御座います!!」
なぜ、
笑ってなど…
いられるのだ…?