君と歩む夢みて~時は平安~
「離せ…咲威。」
「黄泉様、正気にお戻り下さい!…天竜もだ!」
拳に入っている力を緩めた。
ふと、天竜に視線を向けると天竜も同じように身体に力を抜いたようだ。
そして、視線をあいつに向ける。…それはそれは冷たい視線を…
そんな視線を向けられたせいか分からないが、この部屋の主はビビったような素振りで
「よ、黄泉様!このような下衆共が我に逆らおうとしたのですぞ?!それなりの処分が!」
こう、言い放った。
「不要だろう」
ズバッと容赦なく切り捨てる。
咲威が止めてくれたお陰かは分からないが頭が多少冷えた。
キッと鋭い睨みをきかせる。
「覚えておれ!」
悪役みたいな捨て台詞を残し、その場を逃げるように部屋の主は後にした。
気まずい沈黙が私達を取り巻いている。
その沈黙を破るように天竜と弦を見据えた。