君と歩む夢みて~時は平安~



「あぁ…雫と申すのか。宜しくな。」



胸がウズウズと疼く。雫に微笑みかけてる天竜を見てられなくて目を逸らした。



「天竜ってば、少しは顔見せてよね!」



「俺も暇じゃねぇの」



いつもと雰囲気が違って、



話し方も仕草も違って、



真っ黒のなにかは更に黒さを増していく。



「…なんで、離れるのよ…。」



…………なっ…。



「あ?なに?聞こえなかった。」



「なんでもないっ」



気のせいなんかじゃない。確かにそう、言った…。



「…なんで、離れるのよ…。」確かに天竜に向かってそう、言った。



嫌な予感が的中する。



そうだとは薄々感づいていたけど…そうではないことを願っていた。



だけど、やっぱり…



この子も私と同じ目で、



天竜を見ている。




< 52 / 230 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop