君と歩む夢みて~時は平安~
雫が天竜に笑いかけにいくように私はいけない。
それは、身分の違いを勝手につくっているから?
…笑える。
ただ、自分が根性なしなだけではないか。
つーんっと鼻の奥が熱くなった。
目頭に熱が帯びる。
「…弦!」
咲威といた弦に声を張り上げ、呼んだ。震える声をなるべく隠して。
「どうかしましたか?」
弦は直ぐに駆けつけ心配そうに問う。
「なにもないっ。…行こう」
「…?わかりました」
未だに雫と話し込んでいる天竜にきつい視線を送り、私は歩き出した。
…別に、天竜はなにも悪くはないのだが。私が1人…機嫌を悪くしているだけ。
そう、考えれば考えるほど。虚しくなっていくのは…きっと。
私が未熟だから。