君と歩む夢みて~時は平安~
今なら…今なら、伝えられるかもしれない…。
許されるはずのない、この想いを。
部屋を去ろうとする、天竜の服の裾をギュッと掴む。
「黄泉、様…?」
伝えたい…。
好きだ、と伝えたい…
「私は……~…ッ」
涙が邪魔をして、上手く言葉を発すことが出来ない。
胸が…気持ちが…、いっぱいいっぱいで頭が真っ白だ。
好きだ、と伝えるだけで…こんな風に手が震えたりするのか。
さらに強く、天竜の服の裾を強く握る。
「どうか…しましたか?」
天竜…そんなに優しいのは私が主だからか…?
私と同じ目線まで腰を下ろす天竜をジッと見据えた。
私が…主だから…?
天竜はそばにいるのだろうか…
胸におさまりきらなくなった想いは…
溢れ出す。