君と歩む夢みて~時は平安~
「黄泉様…私はお付きといえど元は農民。……それをわかった上で言っておられるのですか…?」
「身分など…っ、関係ないっ…」
留まりを知らない涙は瞬く間に流れ、視界を歪ませる。
それを拭う気力もなければ、反論するような言葉を考える余裕もなかった。
天竜にとって、この行為は…迷惑なだけだったのだろうか…?
ギュッと唇を噛み締める。
「黄泉様は…なにもわかっていません…。わかってください。私は…農民なのです…っ」
…わかっている。わかっているんだ。
…だけどな。好きなものは好きなんだ…っ!!
仕方がないだろう?
産まれてこの年まで恋など…無縁に近かった。
だから、急に訪れた感情の波に追いつくのすら困難なのだ。
おさえる術がわからんのだ…。