君と歩む夢みて~時は平安~
息苦しい想いとともに、天竜が拭ってくれた目から再び涙が溢れ出した。
想っていた人の腕の中はとても温かくて、涙が更に溢れ出す。
どんどん濡れていく私の心。
「…天竜?」
「なんで…身分が違うってだけで、こんな想いしなくちゃならないんだろうな…」
切なそうにそう、呟く天竜。私を抱きしめている腕にしがみついた。
「黄泉様…?」
「私も…同感だ。」
なんで…
こんなにも愛しいのに…
駄目なのだろうか?
月明かりだけが照らす部屋の隅。暗闇のせいか天竜の顔がいつもより端正に見える気がする。
微かに頬が染まった。
その場だけ時間が止まっているかのよう。
2人の距離は…
徐々に近づいていく…。