君と歩む夢みて~時は平安~
「天竜…」
未だに私たちは抱き合っていた。
お互いの存在を確かめるように。
「俺の腕に黄泉様がいるなんて…な」
「夢ではないぞ。」
夢だったら…散々だろう…。
「そう願わずにはいられねぇ…」
そんな、照れた横顔。
いつもと違う言葉。
どれも新鮮で、心が幸せでいっぱいになる。
「天竜」
「ん?」
「…有り難う」
え?と天竜はこちらを向いてきた。
急な至近距離に、反射的に離れてしまう。
「なにが、有り難うなんですか?」
また…敬語を使っている…。
それに少なからずムッとした。
「天竜…私には普段の言葉を使ってくれ。」
「え…?しかし…。」
「散々使っといて、今更何をいうか。」
クスッと笑い
「それもそうだな」
と、私の頭を回転させる。
…要するに、天竜の顔が近い。