君と歩む夢みて~時は平安~
だけど…今日は、やはりおかしい。
“よく、普通に歩けるわよね。黄泉様も”
どこを歩くにしてもこの陰口の嵐。
胸くそが悪いったら…ありゃしない。
「おい…っ」
文句を言いそうになる自分を自分で止める。
…冷静に。…冷静に。
「言うのは勝手だ。そんな…陰気な事しか出来ないのなら私が相手をする必要もないしな。」
少し、余裕を持って嫌味っぽく相手に言う。
「な…っ。よくもそんな事…おっしゃれるものね?黄泉様は…っ「いけませんっ!」」
横から割って入ってくる言葉。
私はそれを止めた人に目を見開いた。
「多…恵…?」
多恵が、文句を言おうとした貴族の口に手を当て阻止している。
「言ってはなりません…。」
「…わかっておるわ。」
シーンとした空気が流れた。