君と歩む夢みて~時は平安~
何故に…止めるのだ。
「今、何を言おうとしたのだ?」
「黄泉様!この場はお納めください…っ!」
え…っ
目の前には、深く深く頭を下げる多恵の姿。
「多恵…っ、なんのつもりだ。」
「この場は…お見逃しくだされ…っ!」
なんなんだ。
そんなに…私が聞いてはいけない何かなのか…?
「わかった…から、顔を上げよ。」
その言葉にゆっくりと頭をあげる多恵。
その、表情は弱々しく、私を軽蔑しているかのような…表情だった。
小さい頃から都で、暮らしてきた私だからわかるもの。
常に…人の顔色を窺って生きてきた私だから…わかるもの。
「失礼いたします。」
その、多恵の言葉を先頭に去っていく貴族たちと多恵。
多恵のあの表情が…焼き付いている。