君と歩む夢みて~時は平安~
意味の分からないまま…戻ってきた自室。
あの…多恵の表情が頭に焼き付いて離れない。
あんな…冷たい表情を向けられたのは…はじめてだった。
「何か…してしまったのだろうか。」
しかし、心当たりなんて全くない。
全くもって、ない。
「なんなんだ。いったい…っ」
私が…何をしたのだ…!!
慣れていたはずの貴族たちの醜い陰口が…怖く思える。
「私が…なにをしたんだっ!」
ダンッ
気持ちをぶつけるかのように、壁を叩いた。
そんな事しても腹の虫がいなくなるわけはないのだが。
「黄泉様!どうなされたのですか?!」
さっきの壁を叩いた音を聞いて飛び出してきたのだろう。
焦っている天竜がいた。